こんな時はすみやかに受診してください
不眠が二日続いたら精神保健上のピンチです。
二日間一睡もできない全不眠は二枚目のイエロードカードです。 三日間は一発レッドカードです。 早急な受診をお勧めします。これは躊躇しないで下さい。
こころの健康が心配されます。早く対処するだけ大事に至らずにすみます。
一般に、ひと晩の不眠は翌日に不足分を取り返す、つまり48時間で帳尻を合わせることが大切です。通常は二日目はよく眠れるものです。 それですっきりします。 しかし、 二日目も眠れないときはこころに何かがひっかかっていると思って良いでしょう。 近所づきあいや家族の病気・もめごと、 職場のトラブルなど心当たりがある場合が少なくありません。思い当たらない時は問題が少しずつ蓄積されて気付きにくいのかもしれません。身体の疲労も同じです。疲れは限界近くまで溜まらないと気付きにくいのです。
不眠の翌日のご自分について経験ありませんか?
- いつもよりお喋りになっている。
- 逆に気持ちが沈み無口になる。
- イライラしがちで怒りっぽくなったり、悲しくなったりして感情が不安定になる。
- 人の声が耳障りになる。言葉がひっかかる。身近な人も普段と違うように感じる瞬間がある。
(むろん誰もがそうなるというのではありません)
不眠が二日続くと
- 前日の数倍も上記の状態になるようです。
- 顔色が悪く、女性は化粧ののりがよくないと感じるでしょう。
まして全不眠が二日以上続いたら
それまで精神健康が良かった人でもかなりの人が「頭が騒がしく」なります。考えてもいないことが浮かんできたり、同時にいくつもの考えや観念、雑念が出てくることがあります。いつわりの「冴え」が生じます。思ってもいないことを口走り、気持ちが動揺して自分をコントロールできなくなることがあります。何日も寝かせない拷問(最近では米国CIAの尋問-拷問の中で180時間寝かせないというのがあります。これが最もつらい拷問だそうです)が古代からありますが、心療内科や精神科の患者さんはその辛さを辛いと感じないくらいの状況に置かれていることを治療者は念頭に置く必要があります。
さらに困るのは、人の言葉や態度、仕草が当てつけがましく感じられることです。コソコソ話はとりわけて自分の悪口を言ってるとか、噂をしているように思ってしまいがちです。大概の場合は周りの人たちはいつも通りなのですが、物事の感じ方が変わってしまうのです。アンテナの感度が高くなってノイズまで拾ってしまいます。ノイズの方に聞き耳をたてることが増えます。いつもなら気にもかけないことや笑ってすむことがひっかかって、何かしらの「たくらみ」が働いているようで不安になります。
「なんだかヘンだ」「どこかがいつもと違う」と感じ始めることもあります。感情面では起こりっぽくなったり、イライラしたり、平静を保てなくなります。緊張感や切迫感が徐々に強くなります。「ただ事でない」と感じるようです。理性がそんなはずはないといいきかせ、頭では分かっているつもりでも不安は理屈を超えるのです。脅えと孤独感、孤立感が出現しても不思議ではありません。既往歴がないのにてんかん発作を起こすこともあり、その確率が高まります。
これらはどれも正常心理の範囲内で理解できるものです。精神病理学や薬理学的理解は無用です。まずは、よく寝てもらうにはどうしたらよいか、薬や環境調整、不安な気持ちの受容が重要になります。患者さんは治療者に話すだけでもかなり楽になります。
(この際充分に話を聞かないで薬を処方して帰っていただくやり方は、若い先生たちはやらないで欲しいと思います。病者の理解からますます遠くなってしまいます。)
長い人生には、寝ないで頑張らなくてはいけない時があるでしょう。しかし、目的を達成するか、一段落したときは疲労困憊のはずです。泥のように寝る必要があります。無理をした分だけゆとりを取り戻さなくてはいけないのです。疲労を回復するためには無理した期間の2乗に比例する時間がかかると言われています。
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